ver2.0

光が象徴する「空白」。しかし空白の先に何を見出すのか、もしくは何をつくりだしえるのか。
指を星に伸ばしてみる。指先に星々の光を感じる時、その光はその星から数万年の時間の経てここに至ったことだと気づかされる。
指先に感じた今、その星はどうなっているのか。「かつて、そこに、あった」。しかし、それをどうすれば見出せるのか。
神経や思考の先に、その答えを見出したい。
そして、答えを「何か」にすることから、その「何か」に輪郭を与えたい。
輪郭をえたものは何者なのだろうか。それを見つけ、現していくことが私の使命だと思う。



ver1.0

私の写真作品に底通する存在は光だ。光は寛容さと不寛容さ、許容と不寛容、存在と消去、様々な両義を備えている。 それは人という存在が抱える矛盾という両義性と結びつく。人間もまた美しく、また醜であり、生まれ来て、死にゆく存在だ。 私は人間が好きだ。しかし同時に恐れてもいる。そうした私が人間という存在に触れるのに光という存在が必要であり、それが作品として共有されることで私という人が存在する意味を設定できればと考えている。

 製作の際、私は自分の美意識と指先に向き合う。 シャッターを押すときも、カッターで写真が印刷された紙を切るときも、ペンで真っ白いかみにラインを走らせるときも。全ては指が決めている。 指が決め、脳が追随する。その構図の中で、私の作品は形成されていく。 「思いもしない」フォルムが形成され、後付けで理由が設定される。そうした流れの中で、私という一人の人間の持つ世界が、どんどん伸びゆき、新たな世界をつないでくれると信じている。